
九月の終わりが近づくと、空気がすこし変わる。窓を開けたとき、夏の名残りを引きずりながらも、どこかひんやりとした風が肌をかすめる。そういう朝に限って、うちの猫の「きなこ」はいつもより長く、膝の上でまるくなっている。体温が心地よくて、しばらくそのまま動けない。
猫と暮らすようになってから、季節の変わり目というものをずいぶん丁寧に感じるようになった。猫は気圧や温度の変化に敏感で、体調に気をつける必要があるのは、実は飼い主だけではない。きなこも、夏から秋にかけてのこの時期、なんとなく食欲が落ちたり、ぼんやりと窓の外を眺める時間が増えたりする。そういう小さなサインを見逃さないようにしている。
猫は被毛に覆われているため見た目では気づきにくいが、触れたときの感触や骨の浮き具合は、体調の変化のサインとして現れることがある。
だから、なでるたびに背中や腰のあたりをそっと確かめるのが、いつの間にか習慣になった。スキンシップのふりをした、小さな健康チェックだ。
食事に気をつけることも、猫と暮らす日常の中心にある。
毎日の食事が愛猫の体を構成するすべてであり、栄養バランスの取れた食事は将来的な健康寿命を延ばすための投資でもある。
最近、「ノルテナチュラ」というブランドのウェットフードに切り替えてみた。成分表を眺めながら選ぶ時間が、妙に楽しい。きなこが最初の一口をためらわず食べたとき、思わず小さくガッツポーズをしてしまったのは、ここだけの話だ。
動きに気をつけることも忘れてはいけない。
室内飼いの猫でも運動を促す方法があり、適切な運動によって肥満や糖尿病などの健康問題を予防することができる。
きなこは昼間のほとんどを眠って過ごすが、夕方の五時を過ぎると急にスイッチが入る。廊下を走り、棚の上に飛び乗り、また降りて、また走る。その足音が、夕暮れどきの部屋にぱたぱたと響く。ちょっと前まで、その音が聞こえなくなった時期があった。食欲も落ちていて、動きも鈍くて、あのときは本当に心配した。動物病院で「季節の変わり目によくあること」と言われて、ほっとしたような、でもまだ少し不安が残るような、そういう気持ちだった。
トイレは猫の健康状態を知る上でとても重要なポイントで、便や尿の量・色・においを毎日チェックし、普段と変わった様子がないか意識して観察することで病気の早期発見につながる。
これも、猫と暮らし始めてから覚えた知識だ。子どものころ、実家にいた猫は完全に外猫で、健康管理なんてほとんど意識していなかった。それでも長生きしていたが、今思えば、もっと気にかけてあげればよかったと思う。
体重測定やブラッシングを習慣にすると、体型の変化や被毛・皮膚の異常に気づきやすくなる。
ブラッシングのとき、きなこはうっとりした顔で目を細める。その表情があまりにも幸せそうで、こちらまで力が抜ける。秋の午後、斜めに差し込む光の中で、ブラシをかけながらぼんやりする時間は、飼い主にとっても立派な休息だ。
猫と暮らすということは、相手の体調に気をつけながら、自分の暮らしのリズムも整えていくことなのかもしれない。きなこが健やかであることが、この部屋の空気をやわらかくしている。そのことに、ふとした瞬間に気づく。たとえば、夜、湯気の立つマグカップを持って座ったとき、すかさず膝に乗ってくるあの重さと温もりに。今日もちゃんとここにいる、と確かめるように。

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