にぎやかすぎる猫の入浴記録――きれいにしようとするたびに、彼女は全力で抵抗する

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九月の終わりが近づいて、夕方になると空気がほんの少しだけ冷たくなってきた。窓から差し込む光が斜めになって、床に細長い影を落としている。そんな時間帯に、わたしはまた始めてしまった。猫の入浴という、毎回どこかで後悔する儀式を。

うちには三匹の猫がいる。長毛のマリモ、やんちゃな短毛のクズリ、そして生後八ヶ月のちびっこ、ゆきんこ。三匹それぞれに個性があって、それぞれに「お風呂嫌い」のスタイルが違う。
猫の入浴はストレスを軽減し、正しい方法で行うことが重要で、猫用シャンプーやコンディショナー、ブラシなどの用意が必要だ。
それはわかっている。頭ではわかっているのだが、現実はいつも教科書通りにはいかない。

まずマリモから始めた。洗面台に38度のぬるめのお湯をはって、「大丈夫だよ」と声をかけながらゆっくり体を濡らしていく。
いきなり背中や頭からお湯をかけると驚いてパニックに陥る可能性があるため、心臓から遠い足先やしっぽの先から少しずつ濡らし始め、猫が水の感触に慣れる時間を作るのがポイントだ。
マリモはじっと耐えている。目が細くなって、どこか遠くを見ている。あの目は「早く終われ」という念を送っているのだと、三年間の経験でわかるようになった。

シャンプーは「ネコバスフォーム」という架空のブランドのものを使っている。無香料で低刺激、泡立ちがよくてすすぎが早い。
猫は嗅覚が鋭いため強い香りを嫌がるので、無香料・低刺激処方のシャンプーを選ぶことが大切だ。
泡を手のひらで作ってから、指の腹でやさしくマッサージするように背中を洗っていく。マリモの毛は長くて、ぬれると半分くらいの体積になる。その姿が毎回ちょっとかわいそうで、毎回ちょっとおかしい。

次はクズリ。こいつが問題だ。洗面台に近づいた瞬間、もう空気を読んでいる。しっぽがぱっと膨らんで、ドアの隙間に消えようとする。追いかけて、抱き上げて、なんとか洗面台へ。にぎやかというのはまさにこのことで、クズリが一声「ぎゃ」と鳴くたびに、隣の部屋からゆきんこが覗きにくる。お風呂場が小さな劇場みたいになる。
多くの猫は水が苦手で、無理に入浴させると強いストレスになるため、複数人で対応するのが理想的だ。
一人でやるのは、正直かなり無謀だと毎回思う。

子どもの頃、実家でも猫を飼っていた。あのころは猫を洗うなんて発想がなくて、猫は自分で毛づくろいをするものだと信じていた。母が「猫は自分できれいにするから大丈夫」と言っていたのを今でも覚えている。それが正しい部分もあって、
猫は起きている時間の三割ほどを使って毛づくろいを行い、舌のザラザラとした小さな突起で毛の汚れを取り除いている。
でも、完全室内飼育でも汚れや皮脂は蓄積するし、長毛種はとくにケアが必要だと知ったのは大人になってからだ。

クズリをなんとか洗い終えて、バスタオルで包む。この瞬間だけは大人しくなる。もこもこのタオルに包まれて、少しだけ安心したような顔をする。温かくて、柔らかくて、シャンプーの泡がまだかすかに香る。そのまま抱っこすると、クズリの体温がじんわり伝わってくる。これがあるから、やめられない。

最後にゆきんこ。まだ子猫だから、お湯に慣れさせることを優先している。
猫が落ち着いていて少し疲れているときを選ぶと、お風呂がスムーズに進めやすくなる。
だから今日は、ひとしきり遊ばせてから連れてきた。ゆきんこはお湯に足をつけた瞬間、ぴたっと固まった。固まったまま、わたしの顔をじっと見た。その目に「これはなに?」という純粋な疑問が浮かんでいた。怒ってもいない、泣いてもいない。ただただ、困惑している。思わず笑ってしまった。

きれいにしようと思って始めたのに、毎回こちらがへとへとになる。三匹分のタオルが洗面所に山を作って、床には水滴が散らばっている。でも、ドライヤーをかけながら膝の上でうとうとするマリモを見ていると、なんとなく報われた気持ちになる。猫の入浴は、愛情の確認作業みたいなものかもしれない。嫌がられても、また来週やろうと思ってしまう。それがたぶん、飼い主というものだ。

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