猫を洗いまくっている私が伝えたい、にぎやかな入浴タイムのすべて

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五月の夕暮れどき、窓から差し込む橙色の光がタイル張りの浴室の壁をやわらかく染めていた。湯気がゆっくりと立ちのぼり、シャンプーのほのかなハーブの香りが鼻をくすぐる。そんな静かな時間のはずが、我が家の浴室だけはいつも違う。三匹の猫たちのおかげで、毎回にぎやかな戦場と化している。

うちにはソラ(スコティッシュフォールド・4歳)、ムギ(アメリカンショートヘア・2歳)、そしてクロ(雑種・7歳)がいる。猫の入浴を始めたのは、ムギを迎えた三年ほど前のこと。最初は「猫って自分でグルーミングするから洗わなくていいんじゃ?」と思っていた。実際、
室内で暮らす短毛の猫であれば、基本的にはお風呂に入れなくても清潔を保てることがほとんど
らしい。でも、ムギが初めてトイレに失敗してお腹まわりをべったり汚したあの夜、もう迷う余地はなかった。きれいにしよう、と腹をくくった。

それ以来、我が家の猫の入浴は定期的な行事になった。
シャンプーの原液を直接猫の皮膚につけると刺激が強すぎるため、あらかじめ洗面器でぬるま湯に薄めてよく泡立て、その泡を使って体を洗う
のが基本だと知ってからは、ずいぶんスムーズになった。指の腹でマッサージするように優しく洗うと、猫も多少は落ち着いてくれる。多少は、だけど。

お湯の温度にも気をつかう。
洗面器よりも少し大きめのものに30〜35度くらいのぬるま湯を2/3程度入れ、猫が遊ぶおもちゃを浮かべてあげる
というやり方を試してから、特にムギの暴れ方がマシになった。底が浅ければ溺れる心配もないし、おもちゃに気を取られてくれる瞬間がある。その隙に、さっと背中を洗う。これが我が家の作戦だ。

ソラはわりと大人しい。後ろ足から少しずつお湯をかけ、
「お湯をかけるよ」と優しく声をかけながら、お尻、背中へと徐々に濡らす範囲を広げていく
と、諦めたような顔でじっとしていてくれる。その目が「早く終わってくれ」と語っているのは、飼い主にはわかってしまう。一方のクロは7年間で一度も慣れていない。シャワーヘッドを近づけた瞬間に低く唸り、全身でNOを表明する。それでも
一度シャンプー剤をつけたら洗い流すまで終わらせることができない
ので、こちらも覚悟を決めて向き合う。

先日、クロを洗っていたとき、ふと手が滑ってシャワーヘッドが浴槽の縁に当たり、水が盛大に跳ねた。クロに向かって、ではなく、完全に自分の顔面に。眼鏡をかけたまま入浴作業をしていた私は、レンズが水滴だらけになって一瞬何も見えなくなった。クロはその隙に洗面器から半身を乗り出し、「今がチャンスだ」とでも言いたげな顔をしていた。飼い主の失態を見逃さない猫の観察眼は、本当に侮れない。

洗い終わったあとが、また大変だ。
タオルドライはゴシゴシと擦るのではなく、タオルを体に押し当てるようにして優しく拭いてあげる
のが正しいやり方。でも三匹分のタオルを用意しておかないと、途中で足りなくなる。我が家では「ニャンコタオル」というブランドの厚手マイクロファイバータオルを愛用している。吸水性が段違いで、一枚でかなりしっかり水気が取れるから手放せない。

ドライヤーの音が鳴り始めると、三匹は一斉に逃げようとする。
少しずつ当てて反応を見ながら、風が強すぎない弱風に設定し、体から20cmほど離してドライヤーをかける
のがコツだと学んだ。ソラだけは不思議とドライヤーの温風が好きらしく、目を細めてうとうとし始める。あのふわふわした耳が少しずつ乾いていく様子を見ていると、こちらの疲れも溶けていく気がした。

入浴の頻度については、
シャンプーの頻度は短毛種で2〜3ヶ月に1回、長毛種では1〜2ヶ月に1回程度が目安
とされている。過度なシャンプーは皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまうため、やりすぎは禁物だ。私も最初は「きれいにしよう」の気持ちが強すぎて、少し頻繁に洗いすぎていた時期があった。クロの背中がかさついてきたとき、獣医さんに頻度を落とすよう言われて初めて気づいた。

猫の入浴は、決して楽ではない。にぎやかで、びしょびしょになって、腕には細かい引っかき傷が残ることもある。それでも、洗い終わってふわふわになった三匹が、それぞれ好きな場所でグルーミングを始める光景を見ると、毎回「やってよかった」と思う。きれいになった毛並みを撫でると、しっとりとした温もりが手のひらに伝わってくる。その感触だけで、今日の戦いは報われる。

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