雨の外を見つめる猫と、静かな午後を一緒に過ごした話

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朝から空が重かった。カーテンを開けた瞬間、ガラス越しに見えたのは鈍色の雲と、すでに濡れ始めていたアスファルト。「あ、外は雨だ」と思いながら、私はそのままソファに戻った。特に予定のない水曜日の午後のことだった。

ムギ——うちの三毛猫、もう7歳になる——は、私が起き出すよりも前からすでに定位置にいた。窓枠の内側、ちょうど日差しが差し込むはずの場所。でも今日は光がない。それでもムギはそこを動かなかった。前足をきちんとそろえて、外を見つめる猫の姿勢で、ただじっと、雨の落ちる庭を眺めていた。

私はコーヒーを淹れながら、その背中をぼんやり見ていた。「シズカブレンド」という名前の豆を最近買っていて、深煎りで少し甘い香りがする。挽きたての粉がお湯に触れたとき、ふわっと立ち上がるあの香り。それがキッチンに広がって、雨音と混ざり合う。静かな、本当に静かな午後だった。

カップを持って窓の前に立つと、ムギがちらりとこちらを見た。それだけだった。すぐにまた視線を外に戻す。私も釣られるように、一緒に見つめる。外は雨。細かい雨粒が庭の南天の葉を叩いて、小さな水たまりが石畳のくぼみに丸く広がっていた。

子どもの頃、雨の日が好きだった。学校が終わって帰ってきて、窓に顔をくっつけて外を見ていた記憶がある。雨粒が窓ガラスを伝って流れていく様子を、どの雨粒が先に下まで辿り着くか指で追いながら、飽きずに眺めていた。あの感覚に似ている、とふと思った。ムギが今やっているのは、たぶんそういうことだ。

ガラスに触れると、ひんやりとしていた。10月の雨は体温を少し奪う。ムギの毛並みはそのすぐそばで、指先が触れると驚くほど温かかった。ふかふかとした秋毛。思わず少し長く撫でてしまって、ムギが耳だけこちらに向けた。「邪魔しないでほしいんだけど」という顔だったと思う。実際のところ、私もそう思いながら手を引っ込めた——でも3秒後にまた撫でていた。

雨は午後になっても止まなかった。ムギは一度だけ窓から離れ、水を飲みに行って、またすぐ戻ってきた。その往復がなんとなくおかしくて、少し笑ってしまった。どれだけ気になるんだ、この雨が。

私はその間、本を開いたり、閉じたり、コーヒーをもう一杯淹れたりしていた。何かを成し遂げた時間ではまったくなかったけれど、妙に満ち足りていた。外を見つめる猫と、一緒に見つめる私と、雨と、コーヒーの香り。それだけで十分だったのかもしれない。

雨の音は一定ではなかった。強くなったり、少し弱まったり、風が来ると葉が揺れる音が混じったり。ムギの耳もそれに合わせてぴくぴくと動いていた。あの耳は正直だ。

夕方近くになって、ようやく空が少し明るくなった。ムギが大きく伸びをして、窓枠から降りた。それが今日の雨の終わりの合図みたいだった。私もようやくカーテンを少し開けて、湿った外気の匂いを吸い込んだ。土と草と、雨上がり特有のあの匂い。

何もしない午後だったけれど、何かを一緒に過ごした気がする。猫と雨と、静かな時間。それはたぶん、言葉にするほど大げさなものではなくて、ただそこにあった、というだけのことだ。でも、こういう日のことは不思議と長く覚えている。

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