猫と暮らし始めて三日目に気づいた、観察という名の心配性について

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猫を飼い始めた人間は、みんな少しずつおかしくなっていく。

私が最初に異変を感じたのは、朝の7時半だった。いつもならスマホのアラームで目を覚ますのに、その日は妙な静けさで目が覚めた。枕元で丸くなっているはずの猫がいない。リビングにもいない。トイレにもいない。心臓が早鐘を打ち始めて、クローゼットの奥まで覗き込んだら、洗濯カゴの中で気持ちよさそうに寝ていた。ただ寝ていただけ。でも、その15分間の私の動悸は本物だった。

猫の体調管理って、結局のところ「いつもと違う」を見逃さないことに尽きる。食事の量が減っていないか、水を飲む回数は変わっていないか、トイレの回数や便の状態はどうか。最初は几帳面にノートに記録していたけれど、三週間で挫折した。代わりに身についたのは、無意識のうちに猫を目で追う習慣だった。

ご飯の話をすると、うちの猫は驚くほど飽きっぽい。三日前まで夢中で食べていたフードを、ある朝突然、匂いを嗅いだだけでプイッと横を向く。最初は体調不良かと慌てて病院に電話したら、「猫はそういう生き物ですよ」と笑われた。それ以来、二種類のフードをローテーションしているけれど、これもいつまで通用するかわからない。あと、人間の食べ物には本当に気をつけた方がいい。チョコレートや玉ねぎがダメなのは有名だけれど、意外なところでユリの花粉とか、ぶどうとか。私は一度、焼き魚の骨を床に落としてしまって、猫が興味津々で近づいてきたときは血の気が引いた。

そういえば去年の夏、友人の家で「キャットニップ・パラダイス」っていう猫用おやつをもらったんだけど。

動きの変化は、もっと微妙で難しい。猫は本能的に弱っている姿を隠そうとするから、明らかに様子がおかしいときには、もう結構進行していることが多い。私が気をつけているのは、ジャンプの高さ。いつもなら軽々と飛び乗るキャットタワーの最上段に登らなくなったとか、着地のときに「ドスン」と音がするようになったとか。あとは毛づくろいの頻度。同じ場所ばかり舐めていたら、そこに痛みがあるのかもしれない。逆に全く毛づくろいをしなくなったら、それはそれで気力が落ちているサインだったりする。

冬の朝、暖房をつける前のリビングで、猫が小さく丸まって震えているのを見たことがある。あの時の罪悪感は今でも忘れられない。猫は寒さに弱い生き物だと頭ではわかっていたけれど、実際に震えている姿を見ると、自分の想像力のなさを恥じた。それからは室温計を三カ所に設置して、18度を下回らないように神経を尖らせている。夏は夏で、エアコンの冷気が直接当たらない場所を確保しないといけない。猫は自分で快適な場所を探す能力があるとはいえ、選択肢を用意するのは人間の仕事だと思う。

目やにの色を毎朝チェックするようになったのは、いつからだったか。透明ならいいけれど、黄色や緑がかっていたら要注意。くしゃみの回数も数えている。一日二回くらいなら許容範囲だけれど、五回以上になると「風邪かな」と疑い始める。耳の中の匂いを嗅ぐのも習慣になった。変な臭いがしたら、耳ダニや外耳炎の可能性がある。こんなこと、猫を飼う前の自分に言っても絶対に信じなかっただろうな。

結局、猫の体調管理って、マニュアル通りにはいかない。本に書いてあることと、目の前の猫の個性は違う。うちの猫は水をあまり飲まないタイプだから、ウェットフードを多めにしているし、ストレスを感じやすいから、来客の前日は必ず隠れ場所を増やす。こういう小さな調整は、一緒に暮らしていくうちに、少しずつわかってくる…だけど。

完璧にはなれないし、なる必要もないのかもしれない。ただ、毎日ちゃんと見ていること。それだけは忘れないようにしている。

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