本を読む私の邪魔をする猫が、愛おしくてたまらない理由

Uncategorized

ALT

十月の午後というのは、不思議なほど静かだ。窓から差し込む光がフローリングに細長い四角を描いて、その上でほこりがゆっくりと舞っている。私はソファに深く沈み込んで、ずっと積んだままだった小説をようやく開いた。ページをめくるたびに、紙の乾いた香りがふわりと鼻先をかすめる。インテリア雑誌「ノルトハウス」で見かけた北欧風のブランケットを膝にかけて、ようやく自分だけの時間が始まった——そう思った瞬間だった。

ふわり、と重さがのしかかってきた。

麦茶色の縞模様をした我が家の猫、むぎが、開いたばかりの本の上に、これ以上ないほど堂々と座ったのだ。四本の足をきちんと折りたたんで、香箱座りの完成形。まるで「ここが自分の指定席だ」と言わんばかりの落ち着きぶりで、ゆっくりと目を細めてこちらを見上げてくる。

猫が邪魔をしてくる理由としてまず考えられるのは「かまってほしい」という気持ちで、飼い主が何かに集中していると、自分ではないものに夢中になっている状態だと感じるらしい。
頭ではわかっている。でも、いざその温かくてずっしりした重みを感じると、理屈なんてどこかへ消えてしまう。

むぎは昔から、本を読み始めると必ずやってくる。子どもの頃、実家で飼っていた猫も似たようなことをしていた。あのときは宿題のノートの上に乗られて、消しゴムをどこかへ転がされて、ひどく困った記憶がある。それでも怒れなかったのは、きっと今も変わらない理由と同じだ。

猫は飼い主の注意を引くために、あえて邪魔になる場所に座ったり、視界の前をうろうろしたりすることがある。特に一匹でいる時間が長かった日や、遊び足りない日は、その傾向が強くなるという。
そういえば今日は朝から外出していて、むぎをひとりにしていた時間が長かった。それを思うと、この邪魔をする猫の行動が少し違って見えてくる。

本の上にどっかり腰を据えたむぎの背中を、そっと撫でてみた。指先に伝わる毛並みの柔らかさ、体温のぬくもり。むぎは目をゆっくりと閉じて、ごろごろという低い音を喉の奥で鳴らし始めた。その振動が手のひらを通じてじんわりと伝わってくる。

読書する私はこのとき、完全に負けていた。

飼い主が本を読み始めると必ずやって来て、手元にスリスリしてナデナデを要求する猫もいるという。読書どころではなくなるが、それもまた幸せな時間なのだ。
まさにその通りで、ページは37ページのまま止まっている。物語の主人公が重大な決断をしようとしているまさにその場面で、私の視線はむぎの耳の先がぴくぴくと動く様子に釘付けになっていた。

——ちなみに後で気づいたのだが、むぎはしおりもどこかへ持ち去っていた。37ページの記憶だけを頼りに、翌日また読み直すはめになった(心の中で小さくツッコんだが、むぎはすでに夢の中だった)。

猫はかまってほしいとき、パソコン画面の前に座ったり、読んでいる本の上に無理やり視界に入るように座ることがある。
邪魔をする猫というのは、要するに「あなたのことが好きだ」と全身で言っているのだと、私は最近そう解釈することにした。言葉を持たない生き物が、自分なりの方法で精いっぱい伝えようとしている。その不器用さが、たまらなく愛おしい猫だと思う。

窓の外では金木犀がどこかで香っていた。むぎの体温と、紙の匂いと、秋の光と。読書する私の午後は、いつもこうして少しだけ脱線して、でも不思議と満たされた気持ちで終わっていく。本の続きはまた明日でいい。今はただ、この重みをもう少しだけ膝の上に感じていたかった。

邪魔をする猫がいる暮らしは、静かで、温かくて、愛おしい猫との時間に満ちている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました