猫と過ごす秋の入り口で、体調に気をつける暮らしのこと

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九月に入ったばかりの朝、カーテンの隙間からやわらかい光が差し込んでくる。まだ夏の名残がある空気の中に、ほんのわずか、秋の気配が混じっていた。ベッドの足元で丸まっていた猫の「シオン」が、ふいに耳をぴくりと動かして目を開けた。何かが変わったことを、彼女はとっくに知っていたのかもしれない。

猫と暮らすようになってから、季節の変わり目というものを、以前よりずっと繊細に感じるようになった。

人間と同じように、猫も季節の変わり目は体調に変化が起こりやすい時期だ。厳しい暑さの夏が一段落し、過ごしやすくなる秋だが、昼間と夜の寒暖差が大きいことや、夏に溜まった体の疲れが出やすい時期でもある。
だから九月というのは、猫にとって「ほっとする季節」であると同時に、ひそかに体調を気をつけるべき月でもある。

シオンは今年で八歳になる。子猫の頃の、あの無謀なほどの活発さはすっかり落ち着いて、今は窓辺の日だまりで午後を過ごすことを好む。ちょうど一年前の秋、彼女が急に食欲をなくした日のことを、今でも思い出す。フードを出してもそっぽを向いて、水だけを少しなめて、あとはじっとしていた。あの静けさが怖かった。慌てて動物病院に連れて行ったら「季節の変化によるストレスでしょう」と言われた。ほっとしたような、拍子抜けしたような、複雑な気持ちで帰り道を歩いた記憶がある。

食事に気をつけることの大切さを、そのとき改めて思い知った。

猫にとっても「食欲の秋」で、抜け毛の季節でもある。寒さ厳しい冬に備えて、体調・体重管理を万全に行うことが大切だ。
食欲が出てきたからといって、好きなだけ与えればいいわけではない。フードの量、水分の摂り方、食べる時間帯のリズム。そういった細かいところにこそ、猫の健康は宿っている。わたしはシオンのフードを、架空のブランド「ネコトワ」の秋冬用ウェットフードに切り替えながら、少しずつ水分補給を意識するようにした。

そして動きに気をつけることも、見落とせない視点だ。

換毛期には普段よりも抜け毛が多くなる。グルーミングのため体を舐めた時に飲み込まれた抜け毛は、飲み込んだ毛が胃の中で絡み合ったり、ボール状にまとまってしまうことで、毛球症を引き起こすことがある。
だから今の時期は、シオンの動きをいつも以上によく見ている。ごはんを食べたあと、すぐに横になってしまわないか。グルーミングの頻度が増えていないか。トイレに行く回数や、そこでの様子はどうか。

トイレは猫の健康状態を知る上でとても重要なポイントだ。便や尿の量・色・においを毎日チェックし、普段と変わった様子がないか意識して観察することで、病気の早期発見につながる。

ある朝、シオンがわたしのそばに来て、くるりと一回転してから座った。何か言いたいことがあるのかと思ってしゃがんだら、ただじっとこちらを見ていた。ご飯の催促でも、遊んでほしいわけでもなく、ただ一緒にいたかっただけらしい。その小さな仕草に、なんとも言えない温かさを感じた。

昼と夜の温度差が次第に大きくなっていく秋は、特に明け方の冷え込みが厳しく、室内でもかなり寒くなることがある。エアコンをタイマーで利用するなど、適切なタイミングをうかがいながら対策を施すことが大切だ。
わたしは最近、朝五時半にエアコンのタイマーをセットするようにした。シオンが丸まっている場所に、温かい空気が届くように。

猫と暮らすということは、こういう小さな調整を、毎日続けることなのかもしれない。大げさな変化ではなく、ほんの少しの気配りの積み重ね。体調に気をつけるというのも、特別なことではなく、毎朝の光の中でシオンの顔を見て「今日も元気そうだな」と確かめる、その習慣のことだと思っている。

ちなみに先週、ブラッシングをしようとブラシを持ち出したら、シオンはそれを見た瞬間にソファの下に逃げ込んでしまった。八年来の付き合いなのに、まだそこだけは折り合いがつかない。まあ、それはそれで、いい。

秋の朝はまだ続く。窓の外の光が少しずつ傾いて、金色になっていく時間。シオンはまた、日だまりの中で目を細めていた。

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