午前3時の猫運動会に呆れながらも起きてしまう私の話

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また始まった。時計を見ると午前3時12分。

うちの猫、名前はタマなんだけど(ベタすぎて友達に笑われる)、この時間になると突然スイッチが入る。リビングからドタドタという音が聞こえてきて、最初は泥棒かと思ったくらいだ。でも違う。あれは猫の足音。体重4キロちょっとの生き物が、なぜあんなに重低音を響かせられるのか、物理学者に聞いてみたい。

ベッドから這い出してリビングに行くと、案の定タマが全力疾走している。ソファの背もたれからキャットタワーへジャンプして、そこから床に着地して、また廊下を駆け抜けて、キッチンで急ブレーキをかけて滑る。この一連の動き、多分30秒くらいで終わるんだけど、それを延々と繰り返してる。

私はドアの前で呆然と立ち尽くす。

止めようとしたこともあるんだよ。抱っこして寝室に連れ戻したり、おやつで気を引いたり。でもね、猫って本当に頑固で、5分後にはまた走ってる。むしろ私が起きたことで「遊び相手が来た!」って勘違いされて、余計にテンションが上がる始末。だから今は諦めて、ただ見守ることにしている。見守るというか、呆れながら眺めてる。

そういえば去年の夏、友達の家に泊まりに行ったときのこと思い出した。そこの猫はめちゃくちゃ大人しくて、一日中窓際で寝てるような子だった。「猫ってこんなに静かなんだ…」って感動して、うちに帰ってからタマを見て絶望したっけ。個体差ってやつ?それとも育て方を間違えた?

タマは今、カーテンによじ登ろうとしている。

「やめて」と小声で言うけど、当然聞いてない。猫の耳は人間の何倍も良いって聞くけど、都合の悪い音は完全にシャットアウトする機能も備わってるらしい。便利な生き物だ。カーテンレールから飛び降りる瞬間、月明かりがタマの目に反射して、一瞬だけ野生動物みたいに見えた。ああ、そうか。この子たちって元々は狩りをする生き物なんだよな。夜行性だし。

でもさ、狩りって言ったって、うちには獲物なんていないわけで。冷蔵庫にあるのはサラダチキンと納豆くらいだし、虫もほとんど見かけない。だから有り余ったエネルギーを、深夜の運動会で発散してるんだろうな。理屈では分かる。分かるけど、明日朝8時から会議なんだよこっちは。

キッチンの床で仰向けになってバタバタしてる。

何がそんなに楽しいのか、本当に謎。私が近づくと、お腹を見せたままこっちを見上げてくる。琥珀色の目がキラキラしてて、「一緒に遊ぼうよ!」って言ってる気がする。でも遊んだら最後、朝まで付き合わされるのが目に見えてるから、ここは心を鬼にしてスルー。猫じゃらしを取り出しそうになる手を、必死で抑える。

ふと、窓の外を見ると、向かいのマンションも明かりがついてる部屋がいくつかある。あの人たちも猫に起こされたのかな、それとも全然関係ない理由で起きてるのかな。深夜3時に起きてる人間の事情なんて、それぞれだろうけど。

タマは今度は洗面所に向かって走り出した。水道の蛇口から垂れる水滴を眺めるのが好きで、たまにそこで30分くらいじっとしてることがある。今日もそのパターンだといいんだけど。私はリビングのソファに座り込んで、遠くから様子を見守る。見守るっていうか、監視。いや、ただ座ってるだけ。

部屋の温度計は22度を指してる。ちょうどいい温度のはずなのに、なぜか少し肌寒く感じる。たぶん眠気のせいだ。こういう中途半端な時間に起きると、体温調節がうまくいかなくなる。膝の上にクッションを抱えて、タマが落ち着くのを待つ。

10分くらい経っただろうか。洗面所から出てきたタマが、私の足元にすり寄ってきた。

「終わり?」って聞いても返事はない。当たり前だけど。タマは私の膝の上に飛び乗ってきて、丸くなって目を閉じた。さっきまでの狂乱が嘘みたいに、すやすや寝息を立て始める。この瞬間だけは可愛いと思う。この瞬間だけは。

重さと温かさが膝に伝わってきて、なんとなくそのままでいることにした。立ち上がったらまた起きそうだし。スマホを取り出して時計を確認すると、3時47分。中途半端すぎて、もう一度寝るべきか起きてるべきか判断がつかない。結局、ソファに座ったまま朝を迎えることになるんだろうな、たぶん。

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