
猫を飼い始めた人がまず驚くのは、こいつら本当に具合が悪いのを隠すってことだと思う。
私が最初に飼ったのは保護猫のミケで、引き取って一週間くらいは元気そのものだった。朝から晩まで走り回って、カーテンによじ登って、夜中の三時に私の顔面を踏みつけて起こしてくれるような子だったんだけど、ある日突然ご飯を半分しか食べなくなって。その時はまだ「まあ、気分じゃないのかな」くらいに思ってたんだよね。今思えば完全に素人の判断ミスだったんだけど。
体調管理で一番大事なのは、いつもと違う動きを見逃さないことなんだと獣医さんに言われた時、正直「そんな曖昧な…」って思ったんだけど、これが意外と的を射てる。猫って毎日だいたい同じルーティンで生きてるから、そのリズムが崩れた瞬間に何かが起きてるサインだったりする。いつもなら朝七時に必ず私の布団に潜り込んでくるのに来ない日とか、お気に入りの窓際の定位置に座らない日とか。そういう小さな変化を拾えるかどうかが全てかもしれない。
食事については、量よりも食べ方を見た方がいいって最近わかってきた。ガツガツ食べてるように見えても、よく観察すると片側の歯でしか噛んでなかったり、ドライフードだけ避けてウェットしか食べなかったり。うちのミケは去年の冬、急に食べるスピードが遅くなって、最初は「年取って落ち着いたのかな」なんて呑気に考えてたら、実は歯肉炎になりかけてたっていう。水を飲む量が増えたり減ったりするのも要チェックで、特に夏場は脱水症状になりやすいから、いつもの倍くらい神経質になってもいいと思う。ちなみに私は一時期、ミケの水入れを三箇所に分けて設置して、どこでどれくらい飲んでるか把握しようとしたんだけど、結局面倒くさくなってやめた。几帳面な人ならできるかもしれないけど…だけど。
そういえば友人が飼ってる猫は、体調が悪い時に必ず押入れの奥に隠れるらしくて、それが彼女にとっての「病院に連れて行くサイン」になってるって言ってた。
トイレチェックも避けて通れない。これは本当に大事で、私は毎日トイレ掃除する時に必ず便の状態を確認してる。下痢してないか、血が混じってないか、逆に便秘気味じゃないか。尿の色も見るし、量も何となく把握してる。最初は「うわあ、こんなことまでしなきゃいけないのか」って思ったけど、慣れると別に何てことない作業になる。むしろ便の状態が良好だと「よし、今日も健康!」って謎の達成感すら湧いてくるから不思議。おしっこの回数が極端に増えたり、トイレに行くのに時間がかかるようになったら、腎臓や膀胱の問題を疑った方がいい。特にオス猫は尿路結石になりやすいから、トイレで唸るような声を出してたら即病院案件だと思う。
毛づくろいの頻度も実はバロメーターになってて、体調が悪いと毛づくろいをサボるようになる。逆に過剰にやり始めるのもストレスや皮膚疾患のサインだったりするから、どっちに転んでも注意が必要なんだよね。ミケは春先になると必ず首の後ろを掻きむしるようになって、最初は花粉症かと思ったら、実はノミアレルギーだったっていう。それ以来、予防薬は欠かさず使ってる。
呼吸の仕方を観察するのも忘れちゃいけない。寝てる時にお腹が激しく上下してたり、口を開けて呼吸してたりしたら、それは緊急事態。猫は基本的に鼻呼吸する生き物だから、口呼吸してる時点で相当苦しいってことなんだって。あと、咳やくしゃみも見逃さない方がいい。たまにするくらいなら問題ないけど、連続で出るようになったら何かしらの病気を疑った方がいいらしい。
体重管理については、月に一回くらいは測った方がいいと思う。うちはペット用の体重計を買ったんだけど、ミケが全然乗ってくれなくて、結局私が抱っこして人間用の体重計に乗って、私の体重を引き算するっていう原始的な方法に落ち着いた。誤差はあるだろうけど、大幅な増減がわかればそれでいいかなって。急激に痩せたり太ったりするのは、何かしらの病気のサインであることが多いから。
目ヤニや涙が増えてないかも毎日チェックしてる。特に朝起きた時に目ヤニがついてることは普通にあるんだけど、それが黄色っぽかったり緑っぽかったりしたら要注意。透明ならまあ大丈夫なことが多い。耳の中も定期的に覗いて、変な匂いがしないか、赤くなってないか確認する。耳ダニとか外耳炎とか、意外と多いトラブルだから。
結局のところ、猫の体調管理って「いつもと違う」を察知するゲームみたいなもんで、正解なんてないのかもしれない。毎日一緒にいて、その子の「普通」を知ってるからこそ気づける変化があるわけで。だから飼い始めの頃は不安だらけだったけど、今はミケの小さな変化に気づけるようになった自分をちょっと誇らしく思ってたりする。
まあ、それでも見逃すこともあるんだけどね。完璧にはなれないし、ならなくていいと思ってる。


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