突然、我が家の猫が賑やか過ぎて困惑している私の日常

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私の生活が一変したのは、3か月前のことだった。それまで物静かだった愛猫のモモが、まるで人格が入れ替わったかのように突然賑やかになってしまったのだ。今日も私は呆然と、リビングを走り回るモモの姿を眺めている。

最初の変化に気付いたのは、ある平凡な月曜日の朝だった。いつもなら窓辺で優雅に日向ぼっこをしているはずのモモが、突如として家中を疾走し始めたのだ。まるでF1レーサーのように、リビングからキッチン、廊下を経て寝室まで、息つく暇もなく走り回る姿に私は目を疑った。

「モモ?どうしたの?」

声をかけても、モモは私の問いかけなど耳に入っていないかのように走り続ける。時折、天井を見上げては何かに驚いたように飛び跳ね、カーテンに向かって猛ダッシュをかける。私の大切なカーテンが、モモの予期せぬ運動会の犠牲になっていく様子を、ただただ呆然と見つめることしかできない。

以前のモモは、典型的な気品のある猫らしい猫だった。優雅に毛づくろいをし、静かに私の膝の上で寛ぎ、時折可愛らしい鳴き声で甘えてくる。そんな穏やかな日常が、今では懐かしい思い出となってしまった。

現在のモモは、まるでエネルギー無限の永久機関だ。朝は私の顔の上で運動会を開催し、昼間は家具を障害物に見立てた華麗なパルクールを披露する。夜になれば、突如として「ニャーォ!」という奇声を上げながら、闇に紛れて私を驚かせることを日課としている。

「もしかして、何か健康上の問題があるのかな?」

心配になって獣医さんに連れて行ったが、診断結果は至って健康。むしろ、獣医さんからは「とても活発で元気な猫ですね」と太鼓判を押された。これが褒め言葉なのか、それとも私の苦悩を理解していない証なのか、判断に迷う。

我が家の家具は、モモの突然の性格変化の証人となっている。ソファーの背もたれには無数の引っ掻き傷が、カーテンには猫が駆け上がった形跡が、そして私の大切な観葉植物は、モモの「偶然の」接触により、次々と横たわっていった。

特に困るのは、来客時だ。友人が訪ねてきても、モモは私たちの会話など眼中にないかのように、リビングを疾走し続ける。時には友人のバッグや持ち物に興味を示し、予期せぬ「検査」を始める。友人たちは笑って「元気な猫ちゃんね」と言ってくれるが、私の心は複雑だ。

夜も新たな課題となった。以前は私の枕元で静かに眠っていたモモが、今では真夜中に突如として運動会を開催する。暗闇の中、光る目だけが見える状態で家中を駆け回る姿は、もはやホラー映画のワンシーンだ。

「モモ、お願いだから静かにして…」

深夜の懇願も空しく、モモは自身の夜の運動会に没頭している。時には私の布団の中に突進してきて、まるでモグラ叩きのように私の足を襲撃することもある。

朝になれば、疲れ果てた私をよそに、モモは相変わらず元気いっぱいだ。キッチンでコーヒーを入れようとすると、足元でスリスリと甘えながら、突如として冷蔵庫に向かってダッシュ。私のコーヒーカップが危険な状態に陥ることも日常茶飯事となった。

「これが新しい日常なのかな…」

呆れながらも、次第にモモの賑やかな性格に慣れてきている自分がいる。確かに、家の中は以前より騒がしくなったが、モモの予測不能な行動に、毎日が新鮮で面白いとも感じ始めている。

時には、仕事から疲れて帰宅した私を、玄関で出迎えてくれる。もちろん、その後すぐに廊下を疾走していくのだが、その一瞬の歓迎に心が温かくなる。また、私が落ち込んでいる時には、突如として私の膝の上に飛び乗ってきて、短い間だが癒しの時間を与えてくれる。

最近では、モモの行動パターンにも少しずつ気付き始めている。朝の運動会は必ず7時から始まり、昼食後は短い昼寝タイム、夕方になると再び活発化する。まるで時計のように規則正しい、ちょっと変わった生活リズムだ。

「結局のところ、モモは幸せなんだよね」

獣医さんの言葉を思い出す。確かに、モモの目は輝いていて、毛並みも良く、食欲も旺盛だ。ただ性格が変わっただけで、むしろ以前より生き生きとしているのかもしれない。

今日も私は、リビングのソファーに座って、走り回るモモを眺めている。突然の性格変化に戸惑いながらも、この賑やかな日常が、今では愛おしく感じられる。時々、モモと目が合うと、まるで「付いてこられる?」と言わんばかりの表情を見せる。

そんなモモを見つめながら、私は苦笑いを浮かべる。確かに予想外の展開だったが、これはこれで素敵な物語なのかもしれない。ただ、カーテンだけは新しいものに替えないといけないな、と心の中でつぶやく私であった。

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