猫に起こされる朝は、いつも予定より早い

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休日の朝、まだ夢の続きみたいなぼんやりした意識の中で布団にくるまっていたら、顔に何か柔らかいものが触れた。

目を開けると、至近距離に猫の顔がある。うちの三毛猫のマロは、私の鼻先から5センチくらいのところで、じっとこっちを見つめていた。その瞳が朝の光を受けて琥珀色に光っている。可愛いんだけど、正直ちょっと怖い。人間だったら完全にパーソナルスペースの侵害だし、起こし方としては圧が強すぎる。でもマロにそんな概念はないから、ただひたすら「ごはん」という意思だけを瞳に込めて私を凝視してくる。

時計を見ると朝の6時半。いや、まだ早いって。昨日の夜、確か2時くらいまでNetflixで海外ドラマを見ていたから、せめてあと2時間は寝かせてほしい。そう思いながら目をつぶって寝返りを打つと、今度は背中の上に乗ってくる。3キロちょっとの重み。猫って意外と重いんだよね、特に朝ごはんを要求している時の猫は。

前に飼っていた犬は、こんなふうに起こしに来なかった。というか犬のほうが私より遅くまで寝ていたくらいで、休日の朝は私が先に起きて散歩の準備をしても、犬用ベッドで丸まったまま「まだ寝たい」みたいな顔をしていた。あれはあれで可愛かったけど、猫の執拗さとは種類が違う。猫は諦めない。人間の都合なんて知ったこっちゃないという態度で、ひたすら起こしにかかってくる。

背中に乗られたまま無視を決め込んでいると、マロは私の髪の毛を前足でちょいちょいと触り始めた。爪は出していないけれど、その動作が妙にリズミカルで、まるで「起きろ起きろ」とドラムを叩いているみたい。ベッドの中は温かくて、外の空気はひんやりしていて、この温度差が最高に気持ちいい時間帯なのに。布団の中にいるとかすかに洗濯洗剤の匂いがして、それが妙に落ち着く。先週シーツを洗ったばかりだから、まだ清潔な香りが残っているんだ。

でもマロは容赦しない。今度は私の耳元で小さく鳴き始めた。「にゃあ」という声が、まるで子どもが親を起こすときみたいに切実で、無視するのが難しくなってくる。猫の鳴き声って、本気で何かを要求しているときは音程が微妙に高くなるんだよね。それがわかっているから余計に罪悪感が湧いてくる。

結局、観念して起き上がった。マロは私が体を起こした瞬間、満足そうにベッドから飛び降りて、キッチンのほうへ先導するように歩いていく。その後ろ姿が妙に得意げで、まるで「私の勝ちだ」と言っているみたい。

キッチンに立って、マロの餌を用意しながら、ふと窓の外を見る。まだ街は静かで、向かいのマンションの窓もほとんど暗いまま。こんな時間に起きているのは、私と猫と、あとは早朝ランニングをしている人くらいだろう。餌を皿に入れてマロの前に置くと、待ってましたとばかりにがっつき始める。その食べっぷりを見ていると、まあ起こされたのも悪くないかなと思えてくる。

ただ、一度起きてしまうともう眠れないんだよね。中途半端な睡眠時間で目が冴えてしまって、ベッドに戻っても天井を見つめるだけになる。仕方ないからコーヒーを淹れて、ソファに座ってぼんやりする。マロは満足したのか、今度は私の隣に来て丸くなって寝始めた。

猫に起こされる朝は、いつもこんな感じ。計画していた朝寝坊は実現しないし、予定より早く一日が始まる。でも、あの可愛い瞳で見つめられたら、文句を言う気も失せるんだよね。結局のところ、猫との暮らしって、こっちの都合より猫のペースに合わせることの連続で。

それでもまた明日の朝、同じように起こされるんだろうな…って思いながら、温かいコーヒーを飲んでいる。

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