猫に起こされる朝は、いつも予告なしにやってくる

Uncategorized

ALT

ベッドの中でまどろんでいると、顔の上に何かが乗った。

目を開けると、至近距離に猫の顔がある。瞳孔が開ききった、あの黒々とした瞳。朝の7時前だというのに、うちの猫は私の顔面を踏み台にして起こしにくる。しかも毎回、鼻の頭を狙ってくるから性質が悪い。布団の中は温かくて、外の空気はひんやりしていて、二度寝できるかもしれないというあの絶妙なタイミングで必ずやってくる。

「ごはんまだ?」って顔でじっと見つめてくるんだけど、昨日の夜にちゃんとあげたはずなんだよね。自動給餌器も導入したことがある。フィーダーマスターっていう、タイマー付きの高級なやつ。でも猫は賢いから、機械から出てくるカリカリより、飼い主が手ずから注いでくれるカリカリの方が美味しいって知ってる。だから自動給餌器が作動しても、わざわざ私を起こしにくる。

可愛い瞳で見つめられると、怒る気も失せる…っていうのは嘘で、正直めちゃくちゃ眠い。

前に友達と飲んだ時、「猫飼ってるんだ〜いいな〜癒されるでしょ」って言われたことがあって。癒し? 癒しね。確かに癒されるけど、その代償として睡眠時間を削られてるんですけど、とは言えなかった。猫好きって世間的には「優しい人」みたいなイメージがあるから、「うちの猫マジでうるさい」とか言うと人格を疑われそうで。

猫の肉球は冬場、特に冷たい。その冷たい肉球で頬を押されると、嫌でも目が覚める。布団の中から手を出して猫の頭を撫でてみるんだけど、猫は満足しない。ゴロゴロ喉を鳴らしながらも、ベッドの脇をウロウロして、「早く起きろ」アピールを続ける。たまに枕元に置いてあるスマホを落としたりもする。確信犯だと思う。

起こされ方にもバリエーションがあって、顔面踏みつけの他に、耳元で鳴く、髪の毛を舐める、布団の上で暴れる、などがある。一番厄介なのは髪の毛を舐めるやつで、猫の舌ってザラザラしてるから、頭皮に当たると地味に痛い。しかも起きるまで延々と舐め続けるから、根負けして起きるしかなくなる。

そういえば、猫を飼う前は目覚まし時計で起きてた。スヌーズ機能を駆使して、ギリギリまで寝るタイプだった。今はスヌーズ機能なんて使えない。猫には「あと5分」が通じないから。

ベッドから出ると、猫は嬉しそうに足元をすり抜けていく。キッチンまでの廊下を、しっぽをピンと立てて先導する。まるで「遅いぞ」と言わんばかりに、時々振り返って私を確認する。餌入れの前で待機して、期待に満ちた目でこちらを見上げてくる。その瞳は本当に可愛くて、さっきまでの眠気と怒りが少しだけ和らぐ。少しだけ。

カリカリを注ぐ音がすると、猫はもう私のことなんて忘れてる。夢中でカリカリを食べ始めて、私の存在は完全に無視される。さっきまであんなに必死に起こしてきたくせに。

窓の外はまだ薄暗くて、冬の朝特有の静けさがある。猫がカリカリを噛む音だけが、キッチンに響いてる。

結局、二度寝はできない。一度起きてしまったら、もう布団に戻っても眠れない体質なんだよね。だから仕方なくコーヒーを淹れて、ぼんやりとスマホを眺める。猫は食べ終わると、満足そうに毛づくろいを始める。

猫に起こされる生活、もう何年続けてるんだろう。慣れたかって聞かれたら、慣れてないって答える。でも、いない生活も想像できない…っていうか、想像したくないかも。

コメント

タイトルとURLをコピーしました