日曜日の朝、私は心地よい眠りの中にいた。カーテンの隙間から差し込む柔らかな陽の光が、ベッドの上で優しく踊っている。まだ目覚める時間ではない。そう思いながら、もう少しだけ夢の中に留まっていたかった。
そんな穏やかな朝の静寂を破ったのは、軽やかな足音だった。トントン、トントンと規則正しい音が近づいてくる。我が家の猫のミィが、また朝の挨拶にやってきたのだ。
ベッドの上で丸くなっている私の体に、ミィは慎重に近づいてきた。まず、私の顔の周りをくるりと一周する。そして、決まって私の鼻先に自分の鼻を近づけ、クンクンと匂いを確かめる。その仕草があまりにも愛らしくて、目を閉じたままでもその姿が手に取るように分かる。
「起きてる?」とでも言うように、ミィは小さな声で鳴いた。私が反応しないと見るや、今度は私の頬に冷たい肉球を優しく乗せてきた。それでも起きないふりを続けていると、ミィは作戦を変えてきた。私の胸の上に乗り、ゴロゴロと心地よい振動を伝えながら、じっと私を見つめ始めた。
その視線の重みに耐えきれず、そっと目を開けると、そこには琥珀色の瞳で私を見つめる愛らしい表情があった。猫の目は不思議だ。時に厳しく、時に優しく、そして今のように甘えるような表情を見せる。その可愛い瞳に見つめられると、どんなに眠くても起きずにはいられない。
「おはよう、ミィ」
声をかけると、ミィは嬉しそうにニャーと返事をした。私の胸の上で、さらに大きなゴロゴロという音を響かせながら、両前足を折りたたんで座り直す。まるで「やっと起きた」とでも言いたげな表情だ。
朝日を浴びたミィの毛並みは、いつも以上にきれいに見える。シルバーグレーの毛並みが光を受けて、まるで真珠のような輝きを放っている。思わず手を伸ばしてその柔らかな毛並みに触れると、ミィは目を細めて気持ちよさそうにしている。
ベッドの中は暖かく、猫の重みと温もりが心地よい。普段なら二度寝をしてしまいそうな状況だが、ミィがいると不思議と目が冴えてくる。彼女の存在が、私の一日の始まりを特別なものにしてくれる。
ミィは私の胸の上で寛ぎながら、時折私の顔を見上げては、小さな声で鳴く。その声には「朝ごはんの時間だよ」というメッセージが込められているのが分かる。でも、まだ少しだけこの時間を楽しみたい。
窓の外では、早起きの小鳥たちがさえずり始めている。その音色がBGMとなって、私とミィの穏やかな朝のひとときを演出している。ミィの毛づくろいを眺めながら、私は今日一日の予定を頭の中で整理し始める。
猫に起こされる朝は、決して煩わしいものではない。むしろ、幸せな一日の始まりを告げる、かけがえのない時間だ。ミィの存在が、日常の何気ない瞬間を特別なものに変えてくれる。
やがてミィは、私の胸の上から優雅に立ち上がり、伸びをする。その仕草は毎朝の儀式のように美しい。前足を伸ばし、背中を弓なりに反らせ、尻尾を高く上げる。伸びをしながら小さなあくびをする姿は、この上なく愛らしい。
「分かったよ、朝ごはんの時間だね」
私がそう言うと、ミィは嬉しそうに飛び降りて、ベッドの端で待っている。私がゆっくりと起き上がると、ミィは先導するように部屋の出口へと向かう。その姿は、まるで「早く早く」と急かしているようだ。
ベッドから離れる時、少しだけ名残惜しさを感じる。でも、新しい一日が始まることへの期待が、その気持ちを上回る。それは、愛らしい存在が私の傍にいてくれるからかもしれない。
キッチンに向かう途中、ミィは何度も振り返って私を確認する。その仕草には「ちゃんとついてきてる?」という思いやりが感じられる。彼女の気遣いが、私の心を温かくする。
朝食の準備をしながら、窓の外を見る。空は徐々に明るさを増し、新しい一日の始まりを告げている。ミィは私の足元で待ちながら、時折甘えるような声を上げる。その声が、この朝の空気をさらに心地よいものにしている。
猫と暮らす生活は、こんな小さな幸せに満ちている。起床時間より早く起こされることも、休日の朝寝坊ができないことも、全て愛おしい思い出になる。それは、可愛い瞳で私を見つめる存在がいるからこそ。
ミィとの朝の時間は、私の一日の中で最も大切な瞬間の一つとなっている。彼女の存在が、何気ない日常に特別な輝きを与えてくれる。そして、これからも毎朝、この幸せな時間が続いていくことを願わずにはいられない。
ベッドの中で過ごす贅沢な時間と、愛猫との心温まる触れ合い。それは、どんな休日の予定よりも素晴らしい朝の過ごし方かもしれない。今日も、ミィのおかげで、素敵な一日の始まりを迎えることができた。
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