私の家には、とても賑やかな猫がいる。その名も「モカ」。茶色のふわふわした毛並みを持つ3歳のアメリカンショートヘアだ。最初に出会った時は、人懐っこくて大人しい性格だと思っていたのだが、家に連れて帰ってからというもの、まるで別の生き物に変身したかのように活発で騒がしい猫になった。
今日も朝から私の寝室で大暴れである。カーテンによじ登っては飛び降り、ベッドの上を駆け回り、時には私の顔の上を踏み台にして窓辺まで飛び移る。「もう、朝からやめてよ…」と言いながら、呆れた表情で天井を見つめる私。しかし、モカは私の言葉など耳に入っていないかのように、さらに元気に走り回る。
猫を飼い始めて1年が経つが、未だにこの生活リズムに慣れない。特に朝は大変だ。モカが私の布団の上で運動会を始めるのは、だいたい午前5時頃。外が少しずつ明るくなり始める時間帯だ。最初は可愛らしい鳴き声で起こしてくれるのだが、私が反応しないとどんどんエスカレートしていく。布団の上でジャンプを始め、私の髪の毛で遊び始め、最後には私の鼻を舐め始める。
「はぁ…」と深いため息をつきながら、私は重い腰を上げる。モカの朝ごはんの時間なのだ。キッチンに向かおうとする私の足元で、モカは8の字を描くように体をすり寄せてくる。「そんなに急かさなくても…」と言いながらも、その姿に思わず微笑んでしまう。
食事の準備をしている間も、モカは私の周りをぐるぐると回り続ける。時々、カウンターに飛び乗ろうとするので、「ダメ!」と声を掛けるが、その度に意地悪そうな目で私を見つめ返してくる。まるで「何が悪いの?」と言わんばかりの表情だ。
やっとモカの朝食を用意し終え、私も一息つこうとソファに座る。しかし、モカの活動的な朝はまだまだ続く。食事を終えるや否や、リビングを全力で走り回り始めた。まるでF1レーサーのように、ソファの下をくぐり、テーブルの周りを回り、時には壁を使って方向転換する。その姿を見ながら、私は呆然と座り込むしかない。
「こんなに元気があるなんて…」と思わず呟く私。確かに、保護猫カフェで出会った時は、人見知りで大人しそうな印象だった。他の猫たちが活発に遊んでいる中、モカだけがケージの隅でじっとしていた。その姿に心を打たれ、家に連れて帰ることを決めたのだが、まさかこんなに活発な性格だったとは。
しかし、この賑やかな日常も、今では私の生活に欠かせないものとなっている。仕事から疲れて帰宅した時も、玄関で待っていてくれるモカの姿を見ると、心が癒される。たとえ家具に爪を立てたり、観葉植物を倒したりすることがあっても、その愛らしい表情を見ると怒る気も失せてしまう。
午後になると、モカの活動量は少し落ち着いてくる。窓辺の日向ぼっこスポットで、のんびりと昼寝を楽しむ姿は天使のよう。私がパソコン作業をしていると、時々膝の上に乗ってきて、ゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えてくる。そんな時は、思わず作業の手を止めて、モカの頭を撫でてしまう。
夕方になると、再び活発モードに突入。夕食の準備中も、台所に入ってきては私の足元でじゃれつく。「危ないから、ここは駄目だよ」と言いながら、何度も部屋の外に出すのだが、すぐに戻ってきてしまう。その度に呆れた表情で天井を見上げる私だが、内心では「可愛いな」と思っている。
夜になっても、モカのエネルギーは尽きない。特に「夜中の運動会」と私が呼んでいる現象は圧巻だ。突然、何かに取り憑かれたかのように家中を走り回り始める。時には私の寝室に突進してきて、布団の中に潜り込んでは飛び出すを繰り返す。私が「もう寝るんだから、静かにして」と言っても、まるで聞こえていないかのように暴れ続ける。
そんなモカの姿を見ながら、私は時々考える。この賑やかで騒がしい日常は、実は私にとって大切な宝物なのかもしれない。以前の一人暮らしは確かに静かで平穏だった。でも、今のようなワクワク感や癒しはなかった。モカという存在が、私の生活に色とりどりの彩りを加えてくれているのだ。
寝る前、ようやく疲れたモカが私の隣でくるくると丸まって眠りにつく。その穏やかな寝顔を見ながら、私は今日も幸せな気持ちで目を閉じる。明日もきっと、賑やかで騒がしい一日が始まるだろう。でも、それも含めて私とモカの大切な日常なのだ。
たとえ呆れることばかりでも、たとえ家中を走り回って私を困らせても、モカは私の大切な家族。この不思議な共同生活が、これからもずっと続いていくことを願いながら、私は幸せな気持ちで眠りにつくのだった。
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