窓辺から差し込む朝日に、うっすらと目を開けると、いつものように私の枕元で丸くなって眠っているミーちゃんの姿が目に入った。3年前に保護猫カフェで出会った彼女は、今では私の生活になくてはならない存在となっている。
「おはよう、ミーちゃん」と声をかけると、長い尻尾をゆらゆらと揺らしながら、まだ眠そうな目でこちらを見つめてきた。朝の日課である食事の準備を始めると、台所まで付いてきて、私の足元でスリスリと体を擦りつける。キャットフードを器に注ぐ音を聞きつけると、途端に目が覚めたように背筋を伸ばし、待ちきれない様子で小さな鳴き声を上げる。
私も自分の朝食の支度を始める。トーストが焼ける香ばしい匂いが部屋中に広がり、コーヒーを淹れる音が静かな朝の空気を心地よく満たしていく。休日の朝の食卓は、私とミーちゃんにとって特別な時間だ。彼女は自分の食事を済ませると、いつも私の隣の椅子に座り、私が食事をする様子を見守っている。時々、興味深そうに首を傾げる仕草が愛らしくて、つい余分におかずを分けてあげたくなることもある。
午後になると、ミーちゃんは窓際の日向ぼっこスポットで昼寝を楽しむ。陽の光に照らされた彼女の毛並みは、まるで絹のように輝いて見える。私は近くのソファに座り、本を読みながら時々彼女の寝顔を眺める。穏やかな寝息を立てる姿を見ていると、心が落ち着くのを感じる。
夕方になると、ミーちゃんの活動時間が始まる。キッチンで夕食の準備をしていると、まな板の上の食材に興味津々な様子で覗き込んでくる。魚を捌くときは特に熱心で、私の手元から目を離さない。以前は少し困ったものだが、今では彼女の好奇心旺盛な性格を受け入れ、調理の邪魔にならない範囲で見守らせている。
夕食時も、朝と同じように私の隣で過ごすのが日課となっている。テレビの音を小さめにして、時々ミーちゃんと会話をしながら食事をする。彼女は私の言葉を理解しているわけではないだろうが、やさしく鳴き返してくれる。その温かな空気感は、一人暮らしの寂しさを癒してくれる大切な時間となっている。
休日には特別なメニューを作ることもある。もちろん、ミーちゃんの分も用意する。獣医さんに確認した上で、蒸した鶏肉や白身魚など、彼女が安全に食べられる食材を少量だけ用意する。普段とは違う特別な食事に、いつも以上に嬉しそうな表情を見せてくれる。
季節の変わり目には、ミーちゃんの好みも少しずつ変化する。暑い季節には涼しい場所を求めて、キッチンの床でごろんと横たわることが多くなる。寒い季節には私の膝の上で温まりながら、私が食事をする様子を見守っている。そんな何気ない日常の変化も、私たちの暮らしに彩りを添えている。
夜は決まって一緒にテレビを見る時間を過ごす。私がソファでくつろいでいると、必ずといっていいほど膝の上に乗ってきて、ゴロゴロと喉を鳴らしながらくつろぐ。時には私の夜食に興味を示すこともあるが、それは控えめに断るようにしている。彼女の健康を考えてのことだ。
休日の夜更かしは、私たちの密かな楽しみでもある。普段より少し遅めの夕食を取り、その後はゆっくりとした時間の流れを楽しむ。ミーちゃんは私の読書のお供をしてくれたり、時には一緒におもちゃで遊んだりする。そんな時間を過ごしていると、明日への活力が自然と湧いてくるのを感じる。
就寝前の準備をしている間も、ミーちゃんは私の後をついて回る。歯磨きをしていると洗面台の端に座り、私の動きを見つめている。寝室に向かうときは、まるで案内するかのように先導してくれる。ベッドに入ると、決まって私の足元に潜り込んできて、すぐに寝息を立て始める。
この3年間、ミーちゃんと過ごす時間は私の生活に大きな変化をもたらした。以前は一人で黙々と食事を済ませ、休日も特に変わりばえのしない日々を送っていた。しかし今は、彼女と一緒に食事の時間を共有し、のんびりとした休日を楽しむことができている。
時には仕事で疲れて帰宅が遅くなることもあるが、玄関を開けると必ず出迎えてくれる彼女の存在が、どれほど心の支えになっていることか。一緒に過ごす食事の時間は、一日の疲れを癒し、明日への活力を与えてくれる大切な儀式となっている。
猫と暮らすということは、決して一方的な世話をすることではない。互いを思いやり、共に時を重ねていく中で、かけがえのない絆が育まれていく。ミーちゃんとの食卓を囲む時間は、そんな私たちの関係を象徴する、最も幸せな瞬間なのかもしれない。
今夜も、いつものように二人で食卓を囲み、穏やかな時間を過ごそう。明日もまた、新しい思い出が私たちを待っているはずだ。そう思いながら、ミーちゃんの頭をそっと撫でると、幸せそうに目を細める彼女の表情に、心が温かくなるのを感じた。
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