猫と私の奇妙な同居生活 〜賑やかすぎる家族との日々〜

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私の生活が一変したのは、あの日のことだった。玄関を開けると、まるで台風が通り過ぎたかのような光景が広がっていた。リビングのカーテンは引きちぎられ、観葉植物は倒れ、そして床には無数の足跡。その中心で、我が家の主犯である2匹の猫が、まるで何事もなかったかのように毛づくろいをしていた。

「また?」

この言葉しか出てこない。ため息をつきながら、私は呆然と彼らを見つめた。茶トラのミィと黒猫のルナ。保護猫として引き取ってから、私の平穏な生活は完全に崩壊した。でも不思議なことに、怒る気にはならない。むしろ、この賑やかな日常が心地よくさえ感じられるようになっていた。

ミィは家具の上を軽々と飛び回り、ルナはカーテンを登ったり降りたりの大冒険。私が掃除を始めても、彼らの運動会は続く。掃除機を出すと、それを見たミィが突然スイッチが入ったように走り出した。リビングからキッチン、廊下を経て寝室まで。まるでF1レーサーのような勢いだ。

「もう、いい加減落ち着きなさい!」

声をかけても無駄だった。むしろ私の声に触発されたのか、ルナまでもが加わって二匹での追いかけっこが始まった。私の言葉など、彼らの耳には届いていない。ただ楽しそうに走り回るだけ。時々、私の足元をすり抜けていく彼らを見ていると、まるでサーカスの観客になったような気分になる。

夜になっても彼らの元気は衰えない。私が仕事から疲れて帰ってきても、玄関で待ち構えている二匹。「お帰り!」とばかりに足元にまとわりつき、時には靴を脱ぐのも一苦労だ。疲れているはずなのに、彼らの歓迎に思わず笑みがこぼれる。

食事の時間になると、さらに賑やかになる。キッチンに立つと、まるで影のように私の後をついてくる。缶詰の音を聞いただけで、まるで別の生き物に変わったかのように興奮する。テーブルに置いた自分の食事も、彼らから守るのに必死だ。

「ダメだって!それは人間の食べ物よ!」

何度言っても理解してくれない。特にミィは食いしん坊で、隙あらば私の食事に手を出そうとする。その度に叱るのだが、あの無邪気な表情を見ると、怒りも長続きしない。結局、私が負けて専用のおやつをあげてしまう。これじゃあ躾けになっていないと自覚しつつも、彼らの喜ぶ顔を見ると、つい甘くなってしまう。

休日の朝。ゆっくり寝ていたいのに、顔の上で運動会が始まる。重たい足音と共に、私の布団の上を走り回る二匹。時には私の髪の毛で遊び始めたり、鼻先をペロペロ舐めたり。完全に目が覚めてしまう。

「もう!朝まで待てないの?」

呆れながらも、結局は起き上がって彼らの朝ごはんの準備を始める。その間も、足元でくるくると回る二匹。まるで朝食を催促する子供のよう。実際、彼らは私にとって子供のような存在になっていた。

仕事中もテレワークの邪魔をしてくる。キーボードの上に乗る、モニターの前に座る、マウスを動かす手に飛びつく。集中したい時ほど、彼らは私の気を引こうとする。一番困るのは、オンライン会議の最中だ。真面目な話をしている時に、突然画面に猫の尻尾が映り込む。同僚たちの笑い声が聞こえる中、私は呆れた表情でカメラを見つめるしかない。

でも、そんな賑やかな日々が私の生活の一部になっていた。帰宅して誰もいない部屋を想像すると、むしろ寂しく感じる。彼らの存在が、私の生活に色を添えてくれている。

夜、仕事を終えてソファでくつろいでいると、必ず二匹が私の膝の上に乗ってくる。温かい体温と心地よい重み。ゴロゴロと喉を鳴らす音を聞いていると、一日の疲れが癒されていく。時には彼らと一緒に居眠りをしてしまうこともある。

「本当に手のかかる子たちね」

そう言いながらも、私は幸せな気持ちで彼らを撫でている。賑やかで、時には迷惑な二匹。でも、かけがえのない家族になっていた。彼らがいるからこそ、毎日が特別な日になる。たとえ家中が彼らによって占領されても、私はこの生活を選んで良かったと心から思う。

時々、友人に「大変じゃない?」と聞かれる。確かに大変だ。掃除は倍になり、睡眠時間は減り、自由な時間も制限される。でも、彼らと過ごす時間は何物にも代えがたい。賑やかな毎日の中に、かけがえのない幸せがある。

今日も私は、走り回る二匹を呆然と見つめながら、そっと微笑んでいる。この騒がしい日常が、私の人生の宝物になっているのだから。

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