猫と暮らし始めて三日目に気づいた、体調管理という名の観察ゲーム

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猫を飼うって決めたのは、たしか梅雨の終わりかけだった。

ペットショップじゃなくて、知人の家で生まれた子猫を譲ってもらったんだけど、最初の一週間は本当に何もわからなくて。ネットで「猫 飼い方」って検索しまくって、結局どの情報が正しいのかもわからないまま、ただ見つめ合う日々が続いた。で、気づいたんだよね。猫の体調管理って、結局のところ「いつもと違う」に気づけるかどうかなんだって。

たとえば食事。これがもう、想像以上に個体差があって面倒くさい。うちに来た最初の頃、キャットフードの袋に書いてある通りの量をあげてたら、明らかに太り始めて焦った。猫って基本的に自分で食事量を調整できるって聞いてたのに、うちの子は違ったらしい。朝ごはんを出すと、皿が空になるまで食べ続ける。で、昼過ぎにはぐったりしてる。最初は病気かと思って動物病院に駆け込んだら、「食べ過ぎですね」って笑われた。恥ずかしかった。

それ以来、食事の時間は完全に固定して、量もきっちり計るようにしてる。朝7時と夜7時。この時間になると、猫の方が時計より正確に台所の前で待ってる。食べるスピードも観察するようになった。いつもより遅い日は、もしかしたら口の中に何かあるのかもしれない。逆に異常に早い日は、ストレスを感じてるサインかもしれない。そういう小さな変化を、毎日メモしてたりする。几帳面すぎるって自分でも思うけど。

そういえば、前に付き合ってた人が「猫飼ってる人って神経質になるよね」って言ってたのを思い出した。当時は「そんなことないでしょ」って反論したけど、今ならわかる。神経質になるんじゃなくて、神経を使うようになるんだよ。言葉が通じない相手の異変に気づくには、それしかないから。

動きの観察も同じで。猫ってめちゃくちゃよく寝るから、最初は「こんなに寝て大丈夫なの?」って心配したけど、一日16時間くらい寝るのが普通らしい。問題は、寝てる場所。夏場はフローリングの冷たいところ、冬場は日が当たる窓際。これが定位置なのに、ある日突然クローゼットの奥に籠もるようになったら、それは体調不良のサイン。実際、去年の秋にそれがあって、病院で診てもらったら軽い膀胱炎だった。

遊び方の変化も見逃せない。いつもなら夜の9時過ぎに突然スイッチが入って、部屋中を走り回るのに、それがない日が二日続いたら要注意。関節が痛いのかもしれないし、どこか打ったのかもしれない。逆に、普段は落ち着いてるのに異常にハイテンションな日もある。そういう時は、たいてい何か誤飲してる。輪ゴムとか、ビニール袋の切れ端とか。

体温チェックは、毎朝の耳触りで何となくわかるようになった。猫の耳って、健康な時はほんのり温かいんだけど、熱がある時は明らかに熱い。逆に冷たすぎる時も危ない。血行が悪くなってるサインだから。獣医さんに教えてもらった「FelineHealthチェッカー」っていうアプリも使ってるけど、結局は自分の手の感覚が一番信頼できる。

トイレも毎日チェックしてる。これは本当に大事。尿の色、量、回数。便の硬さと色。全部記録してる。最初は「ここまでやる必要ある?」って思ってたけど、ある時、尿の色がいつもより濃くて量が少ない日が続いて、すぐ病院に連れて行ったら初期の腎臓病が見つかった。早期発見できたから、今は食事療法だけで管理できてる。

毛並みの艶も、体調のバロメーター。ストレスを感じてると、毛づくろいの回数が減って、毛がパサパサになる。逆に過剰に毛づくろいしてる時も危険で、皮膚病の可能性がある。ブラッシングを週に三回くらいしてるんだけど、その時に皮膚の状態もチェックする。赤くなってないか、できものがないか、ノミやダニはいないか。

正直、こんなに大変だとは思ってなかった。でも、慣れてくると、観察すること自体が楽しくなってくる。今日はどんな様子かな、って。朝起きて最初にすることが、猫の顔を見ることになってる。

結局、猫の体調管理って、マニュアル通りにはいかない。ネットに書いてあることが全部正しいわけでもない。自分の猫をよく見て、その子の「普通」を知ることから始まるんだと思う。それがわかるまでに、たぶん三ヶ月くらいかかった。

今でも不安になることはあるけどね。ちょっと咳をしただけで「大丈夫かな」って心配になるし、ごはんを少し残しただけで動物病院の診察時間を調べたりする。過保護かもしれないけど、それでいいと思ってる。

言葉が通じない相手と暮らすって、そういうことなのかもしれない。

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