私の家には5匹の保護猫がいる。それぞれに個性豊かで、特に入浴時の反応は実に様々だ。今日は定期的な「みんなでお風呂の日」。この日を迎えるたびに、我が家は戦場と化すのだが、それでも諦めずに続けている。なぜなら、清潔な猫は幸せな猫だと信じているからだ。
朝一番に挑戦するのは、一番おとなしい茶トラのモカ。彼女は比較的素直に洗われることを受け入れてくれる。ただし、お湯を溜めた洗面器を見た瞬間から、すでに悲しげな鳴き声を上げ始める。「ニャーン、ニャーン」という声が部屋中に響き渡る中、私は優しく彼女を抱き上げる。
専用の猫用シャンプーを泡立てながら、丁寧に全身を洗っていく。モカは諦めた様子で、時々小さなため息をつくように「フゥー」と息を吐く。その姿があまりにも愛らしくて、つい笑みがこぼれる。温かいお湯でしっかりとすすぎ、タオルで包み込むと、モカは少しリラックスした表情を見せる。
次は最難関、黒猫のナイト。彼は入浴を極端に嫌がる。お風呂場のドアを開けた瞬間から、家中を全力で逃げ回る。ソファの下、本棚の隙間、カーテンの裏…どこにでも潜り込もうとする。この追いかけっこだけで、すでに私は汗だくだ。
ようやく捕まえたナイトは、まるで小さな黒豹のように暴れる。シャワーの水しぶきが飛び散り、私の服はすっかり濡れてしまう。それでも、頑固な汚れを落とすため、根気強く洗い続ける。ナイトの毛並みが輝くように綺麗になっていくのを見ると、この苦労も報われる気がする。
3番目は三毛猫のミケ。彼女は気分屋で、その日の機嫌次第で態度が激変する。今日は幸運なことに、比較的協力的な様子。ただし、水を怖がるので、できるだけ静かにシャワーをかけるよう心がける。ミケの特徴的な三色の毛並みが水で濡れると、まるで絵の具が溶け出したような美しさだ。
続いて挑むのは、白猫のシロ。彼は水遊びが好きで、シャワーの水流を追いかけようとする珍しい猫だ。ただし、それが逆に厄介で、きちんと洗おうとすると、遊びたがって落ち着かない。「シロ、じっとして!」と何度叫んでも、はしゃぎ続ける。結果的に、周りは水浸しになってしまう。
最後は茶白のチャチャ。彼女は賢く、シャンプーの時間が近づくと、自ら高いところに逃げ込む。本日も予想通り、キャットタワーの最上段で警戒している。梯子を使って捕獲を試みるが、さらに上の本棚に飛び移られてしまう。まるでサーカスの空中ブランコのような展開に、疲労感が募る。
ようやく全員の入浴が終わり、リビングは湿気で蒸し暑くなっている。床には無数の水滴が散らばり、タオルは山積みになっている。しかし、5匹全員がふわふわの毛並みで輝いている姿を見ると、この騒々しい入浴タイムも悪くないと思える。
乾かす時間もまた賑やかだ。ドライヤーの音に驚いて逃げ出す子、温風が気持ち良くてウトウトする子、怖がって震える子…それぞれの反応を見ながら、丁寧に乾かしていく。特にモカは、ドライヤーの風が好きで、気持ち良さそうに目を細める。その表情を見ていると、心が和む。
全ての作業が終わった後、5匹は思い思いの場所でグルーミングを始める。きれいになった体を自分でも丁寧に整えていく姿は、なんとも微笑ましい。時には互いの毛づくろいもする。特にミケとシロは仲が良く、よく一緒に毛づくろいをしている。
入浴後の猫たちの様子を観察していると、彼らも清潔になることの心地よさを感じているのではないかと思う。確かに入浴中は大騒ぎだが、終わった後はみんなリラックスした表情を見せる。特に夏場は、さっぱりとした感触が気持ち良いようだ。
私の服は完全に濡れ、腕には数本の引っ掻き傷がある。しかし、輝くような毛並みで満足げに寝そべる猫たちを見ていると、この苦労も愛おしく感じられる。来月のお風呂の日も、きっとまた同じような騒動になるだろう。それでも、清潔で健康な猫たちの姿を見られることが、私の何よりの喜びなのだ。
時計を見ると、気づかないうちに午後になっていた。猫たちの入浴に、まる一朝を費やしたことになる。疲れた体を伸ばしながら、ソファに座る。すると、モカが膝の上に乗ってきた。その後ろからミケも、シロも、ナイトも、チャチャも次々とやってきて、私の周りに集まる。
きれいになった猫たちと一緒に過ごす穏やかな午後。この瞬間のために、あの騒がしい入浴タイムも頑張れるのだと、改めて実感する。来月も再来月も、この賑やかな入浴日は続いていく。そして、その度に我が家は幸せな騒動に包まれることだろう。
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